森林浴―或る弟の手記―
佐保里姉さんは私と目が合うと、ふふ、と笑いました。
何も知らない私は、もう具合はいいの? と、尋ねました。
すると、佐保里姉さんは再びふふ、と笑い、今はね、と答えてくれました。
「ねえ、修一郎さん」と、佐保里姉さんは柔らかい声で私を呼びました。
「何」と返すと、佐保里姉さんはまた笑いました。
その笑顔はいつもの美しいものではなく、温かいものでした。
「叔父さんになるのよ」
佐保里姉さんは下腹部を優しく撫でながら、そう言いました。
私はその言葉の意味が直ぐには理解出来ませんでした。
無理もありません。
私はまだ子供だったのですから。
「ここにね、子供がいるのよ」
佐保里姉さんは視線を下腹部を撫でる手に落としました。
その横顔はまるで聖母のようで、私はそれをいつまでも見ていたいとさえ思ったのです。