森林浴―或る弟の手記―



そして、ここからは庭師をしていた男、楢崎の話になります。


佐保里姉さんは楢崎の前に、使用人の若い男と関係を持っていたそうです。


しかも、二人も。


私はそれを知りませんでしたが、両親は知っていたようで、というより、香保里が告げ口をしたそうです。


そしてそれは、佐保里姉さんは犯されただけ、とのことでした。


それも、香保里の差し金で。


楢崎は全て香保里から聞いた、と言っていました。


そして、楢崎もそう差し向けられたそうなのです。


ですが、楢崎は気の弱い男で、いつまで経っても佐保里姉さんを犯すなど出来なかったらしいのです。


佐保里姉さんは楢崎が香保里に仕返しされることを不憫に思い、ついに関係を持ったそうです。


そして、妊娠をした。


楢崎との関係を両親に告げ口したのも香保里だったそうです。


そして、上手く佐保里姉さんへのはずだった縁談を自分のものにしたのです。


そして、何故ここで満足してくれなかったのでしょう。



< 175 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop