森林浴―或る弟の手記―



佐保里姉さんは修介の死後、本当はおかしくなどなっていなかったそうです。


ただ、私たちが少しでも楽なように、とあのように振る舞っていたそうなのです。


いつまでも悲しむ自分を慰める苦労をさせたくなかった。


そんな佐保里姉さんの優しさに私は涙しました。


やはり、佐保里姉さんは心優しい、穏やかな女性だったのだと思いました。


そしてそんな中、佐保里姉さんは全てを宗一郎に話していたらしいのです。


幼い頃のことから、修介の殺害まで、全てをです。


そうです、佐保里姉さんは気付いていたのです。


全ての不幸が、香保里の仕業によるものだと。


私はそのことに驚きました。


佐保里姉さんは何も知らないと思っていたからです。



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