森林浴―或る弟の手記―




佐保里姉さんはそのショックで寝込んでしまい、流産の危機に侵されました。


ですが、何とかお腹の子は早産でしたが生まれました。


真っ白な肌をした男の子は直ぐに間の子だと分かりました。


遊郭に客として来ていた米兵が父親なのでしょう。


ですが、その面差しは佐保里姉さんによく似ていて、愛らしいものでした。


私は甥の誕生に、幸乃と共に喜びました。


そして私は栗原造園の社長に就任しました。


嘉一さんの死後、他の従業員たちが、私に社長になって欲しいと懇願してきたのです。


私は木を伐るのも上手くない若造です。


ですが、幼い頃に培われた優秀さと、佐保里姉さんに教えられた、言いたいことは口に出す、という強さがあったのです。


そして、多趣味であり、元は華族の出。


取引先とも余裕で話をすることが出来ました。




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