Honey×Kiss*幼なじみは王子さま
人気の少ない場所にいくと楓くんは額についた汗を拭いながら、息を一つ。
「…暑いな」
「大丈夫ですか??ハンカチ……」
ハンカチを差し出すが楓くんは、頑なに受け取ろうとはしない。
それが何だか悲しくって。
梓くんがいたら……きっと。
――楓、受け取りなよ
とか言ってそうですよね…。
この場にいない梓くんのことを終始考えながら、引き攣らないように笑顔を見せた。
「ちょっと飲み物買ってくるから待ってろよ」
ツンツンしながら、言うと逃げるように再び人混みの中に姿を消す楓くんを私は…よくわからない、不思議な気持ちで見つめていた。