Honey×Kiss*幼なじみは王子さま

「頑張って嫌な所……っ」



ぐいっ



「違う!人の話最後まで聞けよっ!」



掴まれた両肩。


痛いほどに楓くんの手の強さ、生暖かい温度。


全部、全部、私の体に伝わってくる。


一体何が起こったのか、状況を把握できない私に取り乱す楓くん。


一つわかるのは暗闇の中で花火が夜空に広がって楓くんの表情を私の瞳に丸く映しているということだけです。


言葉を濁らし涙を止めた私に楓くんがやるせない顔で喋り出した。



「お前が…愛生が。梓、梓ってうるさいからイラッときたんだよ。オレと一緒にいるのに、会話しても二言目には梓のことばっかで」



あっ……。そうですよね。

今一緒にいるのは楓くんなのに。


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