Honey×Kiss*幼なじみは王子さま
「何??リクエストは唇だったの。厭らしい奴だな」
あんぐり口を開ける私を無視するように楓くんは意地悪な笑みを落とす。
その期待してたの、とでも言いたげな笑みが心をグサッと突いてきてそんなわけないです!とか思いながら反論できずに、立ち止まっていた。
「からかうのはやめてください!!近所の人に見られたらどうするんですか。後……私は"好き"って言ってないはずです」
「違う意味での"好き"とは言われたけどな。それに、どこでキスするのもオレの自由なんだよ。お前は黙っててキスされてろ」
は……はううっっ!!
顔を真っ赤に染めて返す言葉が全く見つからない。
「……っ!無理ですうううっっ!!私の読んでる小説では、そのような台詞はないです!!」
「バカか。んな小説読んでるから、現実と非現実の境目がわからなくなるんだよ。少しは現実見ろ」