Honey×Kiss*幼なじみは王子さま
だから今回も
「わざわざチャイム鳴らさなくても勝手に上がっていいから」
「すいません。慣れなくて……」
お決まりの文句を一つ言われて玄関に足を運んだ。
「これ、回覧番です」
「どうも…。そうだ……。教室で聞こうと思ってたんだけど」
「はい?」
「楓と何かあった?」
ドク…ン
いきなりの質問返しに胸が一つ。
ドク…ン
二つと不安定な鼓動を繰り返す。
何もかも見透かされているようで、汗がつうっと首筋を伝う。
しかも"楓"と言う、今私が一番触れられたくない単語を梓くんは平然とした表情で口にするからなおさらドギマギして心臓に悪い。