Honey×Kiss*幼なじみは王子さま

「私図書室行くの忘れてました。じゃあ…さようなら」



ダッと荷物を抱えて教室から飛び出る。


振り向くこともせず、ひたすら走って階段を下りた。


息切れが激しくなり走るのを捨てて歩くのに変えた時。



ポタッ――…



廊下に涙が一粒。



ポタッ――…



二粒。



目を擦っても手に残る感触と廊下に落ちる粒は確かに私の涙。


それが限界だったと言わんばかりに、その場に膝を抱えて立ちすくむ。


< 163 / 208 >

この作品をシェア

pagetop