Honey×Kiss*幼なじみは王子さま
トク…ン
「梓くん(はうう)」
思わず声を漏らしてなぜか頬を染める私とは対照的に楓くんは不満げな面持ちを見せる。
「二人でどっか行ってたの?」
「それは…あの……」
デート、とは面と向かって言えない私は口ごもって適応な言葉を隅々から探すが、どうやらちっぽけな脳の中には、ちゃんとした言葉は転がり落ちてないらしい。
それに…デートなんて言いたくなかった自分が一瞬だけいたから……。
浮き沈みの激しい感情を顔に出さないようにしていたら楓くんが
「デートしてた」
すんなりと口許からそれを言って、握っていなかったはずの私の手を急に引いて
「……はひっ?」
はっきりと梓くんの全身が見える所までに体を出してまった。