Honey×Kiss*幼なじみは王子さま

――どうしてそんなこと言うんですか?

――別に言わなくたって…いいのに



この二つだけが脳裏に焼き付いて頭から消えることをしない。


何か言わなくちゃと感じても、言葉に詰まり単語が口から一つも出ないでいたら



「だったら早く教えてくれたら良かったのに。
明日の花火大会……」



梓くんが濁った空気に釘をさした。



花火大会…。



「三人で行きましょうよ」



ふと言葉にして出たのは、たったそれだけ。


楓くんの顔色を眺めながら尋ねてみるが、嬉しそうな顔はしてくれません。



「ヤダ。オレは愛生と二人がいい」



…あっさり断られてしまったのです。


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