アナログ三姉妹


身を引く兄にしがみつく。


暗くてわからないが、


きっと兄の顔は真っ赤だったろう。


「いい年して照れてるー」


茶化したひかりだったが、


「お前には言われたくないな」


「それどういう意味よ‼」


「怒らない怒らない」


「…」


一瞬の間のあと、


二人は笑った。


少し後ろで、


別の二人の笑い声も聞こえる。


「お兄ちゃん」


「ん?」


「今年もよろしくね」


「ああ、よろしく」


兄妹は肩を寄せ合う。


悲しい別れが、


待っているとも知らずに…。



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