【完結】君が教えてくれたコト




「あんまり遅くなると高野のおじいちゃんとおばあちゃんが心配するし、そろそろ帰ろうか」

「あ……うん…」


立ち上がり、高野と手を繋いだ時だ。


ポツッ、ポツポツッ


「ん?あ、雨だ。ひどくなる前に…」


ドッシャーッ


遅かった。

ひどくなるの早すぎでしょ!


俺は急いで高野の手を引いて公園を出た。


近くの店の屋根の下に避難する。


二人とも服を着たまま泳ぎに行ったのかと思うくらいずぶ濡れだった。


はっ…高野の下着が透けてる!


上着とか着てたら都合がよかったが、初夏にそんなものは着ていない。

俺はTシャツを脱いだ。


「ちょっと…何してんの?いくらなんでもこんな所で脱いだら駄目だよ」

「だって緊急事態だし!」

「何が?」


Tシャツを絞って高野に被せる。


「な…何すんのっ」

「高野の下着透けてるんだよ!誰かに見られたくない!」

「だからって…もう…行くよ」

「え!?何処に?」


高野は俺を引っ張って雨の中を進み、路地に入った。


< 116 / 187 >

この作品をシェア

pagetop