死への救急搬送
「このくらいでえんな」
「できたら砕いて入れて」
「わざわざ砕くの」
「私と最後に一緒に旅行した沖縄へ行く機会があったら散骨してあげたい」
「そうか・・・」
「お母さんの二番目の希望やったなぁ・・・」
家内は高野山への納骨と、娘と旅行した沖縄の海が美しかったので沖縄の海への散骨も希望していました。
たぶん旅行した時に娘にも話したのでしょう。
そういえば9月に再び娘と行く申し込みもしていたのに・・・
「前にマシュの骨をマシュが好きだった散歩コースに散骨したけど手で簡単に砕けたから必要な時にすぐに手で砕けるよ」
「もう焼けてポロポロになっているから」
「ならいい」
私は家内の骨壺を閉じて元の位置に戻し、娘の持ってきた骨壺は袱紗に入れ紐で閉じて手渡しました。
「大丈夫な」
「わからん」
「気を付けてな」
「うん」
娘は家内を看るために借りたアパートの部屋へと帰っていきます。
私は帰る娘の車を見送り、車が見えなくなってからも、しばらく見えなくなった方角を見つめていました。
お父さんが母さんの命を救えなかった・・・
ごめんよ・・・
心の中で娘に謝りました。
娘への不安と悲しみがこみ上げてきます。