死への救急搬送


CT画像を私たちに見せながら執刀医が説明します。

「右側の頭蓋骨を開頭し脳を少し切り取るような感じで血を吸出し、出血している部分の血管に糊のような薬剤を注入し出血を止めました」

「画像を見ればわかるでしょうが出血量が多かったため、全ての血を抜き取ることはできませんでした」

「やや白くなっている部分が出血の残っている部分ですが、やがて少しずつ吸収されていくと思われます」

「出血はなかなか止められませんでしたが、現在は止まっております」

「それなりに脳を傷つけていますので回復しても左半身麻痺は残りますし、言語障害も残るかもしれません」

「そこまで回復せずに寝たきりになったり、植物状態になる可能性もあります」

「また再出血する可能性もあり、再出血すれば再手術は不可能だと考えられます」

「今回はあくまでも救命のための手術です」

以上のような説明がありました。




先生からの話が終了して私たちは家内と面会します。

そして娘も到着してICU室に入ってきました。




義父が家内の横に座り離れません。

私と娘、叔母さんたちは家内の寝ているベッドの足の部分から家内を見つめています。





時間が経ち義父が娘に言います。

「お前も横に来て見てやれ」


やっと後ろによけてくれて娘が傍から家内を見られます。

私も横から家内を見つめました。





私は命が助かっただけでも良かったと思いつつ見つめていました。





二十分ほど面会してICU室を出て娘に家内の病状を説明しながら帰宅しました。
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