失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
「あ、あのっ、そそそれって…」
「え?もしかして覚えてないの?あの夜の事」
「えっ…えええ??う、嘘ですよね?だってわたし、服そのままだったし…っ、いや、そんなはずは…」
動揺して目が泳ぎまくってる。
「ブッ…くくっ…も、ダメだ…はははははっ!」
「なっ、騙し…」
「ごめん…だっておもしろ…あー腹いてー」
こんな笑ったの、久しぶりかも。なんか、彼女には悪いけど、すっげースッキリした。
家族や友人、会社関係の人以外とこうして話すっていうのがなんだか新鮮で、肩の荷が下りるようなフッと楽になれた。
目の前で顔を真っ赤にして怒る彼女とも初対面とは思えないほど喋りやすかった。
「からかってごめんね。けど、これでおあいこって事で許してよ」
「…羽賀さんて、ホントお人よしすぎます。よく言われません?」
「はは、よく言われる」
運ばれてきたビールでほぼ初対面の彼女と乾杯。料理も適当に頼んで俺たちはお互いの事を少しずつ話していった。