蜜色オフィス


「好きな女だけに優しいとか、結構理想じゃん。
それに、仕事に向かう姿勢も真面目だし、要領いいし。
ポーカーフェイスだけど、外見だって沖田さんに引けをとらないし」
「あ……、なんだ、そういう一般的な目線でって事ね」


気持ちがバレてたわけじゃないのが分かって、ホっとしてお味噌汁に口につける。

今日のAランチは、白身魚の煮つけと揚げだし豆腐のあんかけ。
それと、今飲んでるなめこのお味噌汁。

いつもAランチを頼む私に、梢は「それで足りるの?」って毎回聞いてくるけど。
一応、一人前分はあるし、男性社員だって満足できる量だと思うんだけど。

第二営業課の大食い女王の胃袋は満たされそうもない量らしい。


「そういう意味だけじゃないけどねー。
ちなみに、芽衣は他にどういう意味があると思ったの?」
「え、えっと……あの……、その、ね?」


分かってるくせに私から白状させようとするなんて、性格悪い。

しかも……、こんな風ににっこり笑顔で問い詰められたら、逃げることもできなくて。
梢の目力に責められるまま、仕方なく白状する。



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