隣の席のキミ



―――――「……いってらっしゃい!由花」
真菜は最後まで笑顔でいてくれた。


そして、私はサッカー部の一員、
藤田祐斗のもとへ、踏み出す
……
……今…だ…。
「あ…あの、藤田、ちょっといいかな…」
精一杯の私で、精一杯の気持ちで…でも、誰よりも君を好き…そう伝えようとした……なのに…
君は―――――――
「…ごめん、……俺もう帰るから…」



…………
……………
………………
……君はそう言って帰ってしまった…。
「あ、そ、そうですか、ごめんなさい」
私はそれしか言わなかった。
言えなかったんだ…。
バカ、バカ、バカ、バカ…
あんなに勇気だして言ったのに、なんで引き留めないの!!??
「…待って!!ちょっとでいいから!」
…なんで、こう言わないの!?
こんなんじゃ、全然ダメじゃんか……。



…………そう思った時には、もう遅くて、君を見れば、遠くにある夕焼けの中…。
綺麗に、
綺麗に、
とけ込んでゆく―――。
ピンク、
黄色、
橙、
オレンジ、
赤茶色、
薄っすらとしたエメラルドグリーン。
夕焼けの新鮮なグラデーションが眩しくて、私は、思わず目を閉じた。
じんわりと浮かぶ…君の姿…。



< 23 / 110 >

この作品をシェア

pagetop