隣の席のキミ



そんなわけがないのに…。
私はさっき真菜とわかれたばかり。
藤田が言ったセリフは、嘘だってすぐに分かった…。
けれど、藤田は私を嫌ってる風に見えるし…だから、自分の部屋に戻った。
これ以上藤田に迷惑かけたくないし、やっぱり嫌われたくないから。
心に弓が何本も刺さったような痛み。
同時に込み上げる悲しさ。
だけど涙は出さなかった。
ここで泣いたら私、どこまで弱い人間なんだろう…。
そう、思ったから。
でも、いいよね。
好きでいても。
気持ち、誤魔化せなくなっちゃったから。
…ゆっくりで、いいんだ。
旅行が終わってからも学校で、隣の席で繋がっていられるから。




それから藤田との会話はちょびちょびあり、この宿泊旅行は幕を閉じた。




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