隣の席のキミ
Story*5

席替え Yuka




今日は大っ嫌いな席替え。
くじ運が悪い私には席替えなんてやっかいものなんだ。
席がえなんてしたら、藤田の隣じゃなくなっちゃうし、一番前の席になる可能性だってある。
だから、絶対にイヤ!!
…なんて言えるわくもなく、また言ったところで席替えを中止にすることもない。
だって、私以外のクラスほぼ全員、この日の席がえを楽しみにしていたんだから。
まぁ、今私が藤田と遠い席で、なおかつくじ運がいいのであれば楽しみにしていただろうけど。
「よぉし、じゃあお前らが楽しみにしていた席がえを行うぞ~」
担任の声に教室の中は盛り上がる。
「男女別に並べ~」
そう、私の学校は男女別にくじを引く。
だから、男子同士が隣になったり女子同士が隣になったりすることはない。
「引いた人から黒板の表を見て机を動かせよ~」
くじを引いて喜んで友達とハイタッチしてる人…。
いいなぁ。
そんなことを考えていたら私の順番が回ってきた。
引いた紙には「29」と書かれていた。
黒板をみて29番の席を探す。
あ!やったぁ!!
運良く一番前はまぬがれた。
それどころか窓際から二列目の一番後ろ。隣は誰だかまだ分からないけれど、かなり嬉しい。

< 61 / 110 >

この作品をシェア

pagetop