不機嫌に最愛



「ねぇ、梓希先輩?」

「んー…?」

「私、梓希先輩が好きです」



梓希先輩の絶妙なシャンプーにウットリしながらも、ついつい口唇から溢れ落ちるのは長い一方通行の恋心。

片想いに終止符を打とうとしながらも、長年染み付いた“梓希先輩大好き病”は治らないらしい。



「……知ってるよ」

「やっぱり、いつもと同じ返しなんですね?」

「……………、」



わかっていたことだけど、拒絶も受け入れもしない梓希先輩の答えに苦い気持ちが押し寄せてくる。

黙ってしまった梓希先輩は黙々とシャンプーを終えて、トリートメントまでしてくれた。



「萌楓、バッサリ切るってどれくらい?」

「え?んー、肩までくらい?」

「なんで、疑問系なんだよ。あと、却下」



改めて、大鏡の前に座って、鏡越しに梓希先輩と御対面して。

聞かれるがままに何となくで答えたら、この返答。

本当に、横暴だ……



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