私の子猫くん


「……きなさい。起きなさい。黒き子猫よ。」




しばらくして、僕はそんな声で目覚めた。




……誰?




「私は、あなたの願いを叶えるためにやってきました。」




……僕の願い?




「はい。私は、必要とする者に必要とする何かを与えることができます。もちろん、純粋な心を持つ者にしか私は見えませんが。」




……ちょっとよく分からないよ。




「まぁ、私の正体はいいのです。分かってほしいのは、私はあなたの願いを叶えられるということです。」




……分かった。




「あなたに危機が迫っています。このままでは、杏という人間と引き離されてしまいます。」




……杏と引き離される?




そんなの嫌だ。




「ですから、私はあなたの願いを叶えてあげます。」




そう言うと、小さな女の人はしばらく黙った。




「あなたの願いは何ですか?」


< 30 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop