『短編』恋するハーモニー


「もう!」


「やっと止まってくれた」


廉はにんまり笑うと、「一緒に帰ろうよ」と七海の自転車のハンドルを取った。


「俺が押していってあげるから」


「……じゃあ、いいよ」


そっぽを向いてそう呟くと、廉が鼻で笑うのが聞こえた。


「なによ」


「ううん」


廉は、一生懸命笑うのをこらえている。


「かわいくないな、とか思ってるんでしょ」


七海がそう言うと、


「まあ、そんなとこかな」


と、前を見つめたまま笑った。


< 5 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop