『短編』恋するハーモニー
廉は合唱部の部長だった。
そして副部長をつとめていたのが七海だった。
2年生になってから何かと会話をすることが増え、また、帰る方向が同じということもあって、たまにこうして一緒に帰るようになった。
高校の近くに住んでいる彼は徒歩通学で、彼の家の前を通って七海は自宅へ帰る。
「明日から冬休みだね」
自転車を押す廉の隣りを、ぶらぶらと歩きながらそう言うと、
「七海はきっと、休み中にいっぱい食べるんだろうな」
と、くすくすと笑った。
「ちょっと!」
思わず廉の肩を叩くと、彼はこらえきれなくなって声を出して笑った。