【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
『自分に、その力がない』
それは、イコール、元の世界に戻る希望が絶たれる、ということだ。
「私、本当に、超能力なんか、あるのかなぁ……」
「それは、ある。間違いなく」
晃一郎は、潔いくらいに、きっぱりと断言した。
「少なくても、お前は、事故当初、俺のテレパシーに答えているんだからな」
「あ、そうか」
声帯と視力が機能していなかったあの時、頭の中に直接響いてきた、晃一郎の、声。
あれが、テレパシーというものなのか。
「それに、百パーセントの確率で外れる、というのはあり得ないんだ」
「え、どうして?」
超能力がないなら、普通、あたらないんじゃないの?
疑問に思っていると、晃一郎は、ジーンズのポケットから百円硬化を一枚取り出して、両手のひらの中でシェイクしたあと、
トン、と、テーブルの上に、百円を握りこんだ左手を乗せた。
「表か裏か?」
わかるか?
と、からかうような視線を投げられ、優花は、むぅーっと眉根を寄せた。