【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
その日の夕方、
大量の、食料品や、衣料品、その他の生活必需品を買い込んできた玲子とリュウが、優花たちの滞在している。海辺のコテージに訪れた。
ダイニングにある応接セットで、買い出して来たパーティ用の握り寿司をつまみながら、
「やー、おめでとう優花。これで君も、一人前の女の子。お赤飯を炊いてお祝いしなくっちゃね!」
と、優花の対面に腰を落ち着けた玲子は、優花の髪色の変化を、手放しに喜んだ。
「とても、綺麗ですよ、優花」
玲子の隣で、成人の特権とばかりに一人、ワイングラスを傾けていたリュウも、ニコニコと、笑みを深めている。
だけど、優花本人は、かなり複雑だった。
はっきり行って、優花は生粋の日本人顔だ。
つまり、金だの銀だのという、明るい髪色は、絶望的に似合わない。
カツラを被っているみたいな違和感が、どうしても付きまとってしまう。
「本当に、変じゃないかな?」
おそるおそる、隣に座る晃一郎に、尋ねてみたら、
「別に、変じゃないだろう?」
と、なぜか、優花の膝の上が特等席、とばかりに鎮座している『ポチ』に、話を振った。