【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
それにしても、なぜ晃ちゃんがここに居るのだろう?
たぶんここは病院だと思うけど、普通こういう時は家族が最初に面会に来るものじゃ――。
そこまで考えを巡らせて、肝心なことを聞き忘れていたことに気付いて、ドキリとした。
聞くのが怖い。
でも、聞かない訳にはいかない、大切なこと。
晃一郎の手を借りて、ベッドの上に上体を起こした優花は、ギュッと唇をかみしめ、意を決して言葉を絞り出した。
「晃ちゃん……」
「うん?」
逸らしたくなるのを必死にこらえて、真っ直ぐ晃一郎の瞳を見据える。
「……お父さんと、お母さんは?」
何かを躊躇うように、微かに揺れる晃一郎の瞳。
答えの代わりに、残酷な沈黙が落ちた。