彼と彼女と彼の事情
「よっ!奈緒、元気か?」

「うん、元気だよ。郁人は……変わりない?」


「あぁ。この通り元気だよ!ただ、最近、仕事がめちゃくちゃ忙しくてさ。早番・遅番のシフト組んでても、結局、俺はオープンからラストまでだから。今日やっと、休みが取れたんだ」


いつもと変わりない、明るく元気な声にホッと胸を撫で下ろす。


「そうなんだ。店長さんは大変だよね。売り上げも気にしなくちゃならないし。でも、忙しいってことは、商売繁盛ってことだもんね。さすがだね、郁人!」


「まぁな。……ところでさ、今日、時間があったら会えないか?」


「……うん、いいよ」


「よし、決まった!じゃ、奈緒の家まで迎えに行くわ!」


「あっ、ちょっと待って!今すぐはダメだよ。無理無理!部屋着のままだし、化粧もしてないから」


「アハハ……分かってるよ。そんなにすぐ行かないから大丈夫!急いでも30分はかかるから。……どう?1時間後くらいで?」


「うん。それならいいよ」

「オッケー!じゃあ、またあとでな」


「うん。気を付けて来てね」


ここで、通話を終えた。 


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