彼と彼女と彼の事情
日差しがだいぶきつくなってきた。 


ベンチに座る私たちの頭上を、太陽がジリジリと照らし始めた。



「そろそろ昼飯の時間だな。部屋に戻るか!」



松葉杖で体重を支え、ゆっくりと立ち上がった。



それを見て、私も慌てて彼に続いた。



「今日はここでいいよ!    来てくれてありがとうな。来週、待ってるから!」



そう告げた郁人は、くるりと向きを変え、スロープを歩きだした。 




< 267 / 300 >

この作品をシェア

pagetop