ワイルドで行こう
母と夕食の支度を終えたら、その時間がやってくる。
琴子の携帯が、メールを着信。
【もうすぐつきます。車で玄関先までいいですか】
【いいですよ。今は車はないので、庭に駐車できます】
返信すると、その数分後。本当に庭先に、あの黒い車がやってきた。今日は近所のことも考えてか、静かなスカイライン。
出迎えると、彼が運転席の窓を開ける。
「こんにちは、琴子さん」
「いらっしゃい、滝田さん。ここ、とめていいですよ」
以前は車があったカーポートに誘導した。
住宅地で狭い路地なのだが、やはり彼のハンドルさばきは上手い。お向かいの塀にバンパーをこすることもなく、大内家の塀にトランクをこすることもなく絶妙な運転感覚。一発で車庫入れ完了。車から降りてきた。
今日は作業着ではなかった。黒いポロシャツに、またデニムパンツ姿。そして片手には紙袋が二つ。
「前は車があったってことだよな」
スカイラインを駐車するまで空っぽになっていたカーポートを、彼が眺めている。
「暫くは父の車をおいていたけれど、私も母も運転しないから売ってしまったの」
「そっか。どっちも運転免許、持っていないの」
持っていないと琴子は頷く。
「親父さん、なんの車乗っていたの」
本当に車が好きなんだなーとか思ってしまう。
「トヨタのクラウン」
「へえ。どの年代のクラウンか見てみたかったなあ。親父さん、それいつ買ったやつ?」
「本当に好きなんですね、車が」
彼が嬉しそうに笑う。その笑顔がまた……大好きなことに没頭して幸せな少年みたい。しっかり者の兄貴という第一印象からの意外性。ちょっといいなと思ってしまう女心に、困ってしまう琴子。
「もう好きで堪らなくて、仕事も車関係だからな」
「整備士さん……なんですか」
彼が一時黙ってしまったのだが。
琴子の携帯が、メールを着信。
【もうすぐつきます。車で玄関先までいいですか】
【いいですよ。今は車はないので、庭に駐車できます】
返信すると、その数分後。本当に庭先に、あの黒い車がやってきた。今日は近所のことも考えてか、静かなスカイライン。
出迎えると、彼が運転席の窓を開ける。
「こんにちは、琴子さん」
「いらっしゃい、滝田さん。ここ、とめていいですよ」
以前は車があったカーポートに誘導した。
住宅地で狭い路地なのだが、やはり彼のハンドルさばきは上手い。お向かいの塀にバンパーをこすることもなく、大内家の塀にトランクをこすることもなく絶妙な運転感覚。一発で車庫入れ完了。車から降りてきた。
今日は作業着ではなかった。黒いポロシャツに、またデニムパンツ姿。そして片手には紙袋が二つ。
「前は車があったってことだよな」
スカイラインを駐車するまで空っぽになっていたカーポートを、彼が眺めている。
「暫くは父の車をおいていたけれど、私も母も運転しないから売ってしまったの」
「そっか。どっちも運転免許、持っていないの」
持っていないと琴子は頷く。
「親父さん、なんの車乗っていたの」
本当に車が好きなんだなーとか思ってしまう。
「トヨタのクラウン」
「へえ。どの年代のクラウンか見てみたかったなあ。親父さん、それいつ買ったやつ?」
「本当に好きなんですね、車が」
彼が嬉しそうに笑う。その笑顔がまた……大好きなことに没頭して幸せな少年みたい。しっかり者の兄貴という第一印象からの意外性。ちょっといいなと思ってしまう女心に、困ってしまう琴子。
「もう好きで堪らなくて、仕事も車関係だからな」
「整備士さん……なんですか」
彼が一時黙ってしまったのだが。