愛を餌に罪は育つ
作り終えた朝食をテーブルに並べ、私は再び寝室に戻った。


目を覚ましたら直ぐにでも触れたい秋の滑らかな頬。


だけど起こす訳にはいかなくて、ようやく触れられるこの瞬間が好き。



「おはよう」

『あぁ――おはよう』



寝起きの眩しそうに目を細め微笑む顔、少し掠れた色気のある声が大好き。


ベッドの中での彼はいったいどれ程艶のある目と声で私を溺れさせてくれるんだろう。


まだ彼と体を重ねた事のない私は、想像しただけで体の芯からじわじわと熱が広がるような感覚に襲われた。


寝起きのキスを交わすと、二人で寄り添って寝室を後にした。


秋が顔を洗っている間に私はグラスに水を注ぐ。


少しずつではあるが、二人のリズムで上手く生活が回り始めたような気がする。



『今日は和食か、美味しそうだ』

「口に合うといいな」



私たちは笑い合い向かい合って椅子に腰掛けた。


柔らかい表情でだし巻き玉子を口にする秋を見つつ、私はテレビの電源を入れた。


経済や政治、世の中の動きが分かるよう毎朝食事の時間は朝のニュースを見るようにしている。


これは元々秋の習慣で、私は朝のテレビなんて特に気にしてなかった。


だけどそのお陰で気付けば私も世の中の事に詳しくなっていて、今では朝のニュースって大事だと思う程になっていた。





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