愛を餌に罪は育つ

止まない涙

梓の胃の洗浄をしてくれた先生の話によれば、もう少し発見が遅れていたら命が助かっても脳に障害が残っていたかもしれないとの事。


幸い検査の結果脳に異常は見られないとの事だ。


暫く安静にしていれば元の生活を送れるようになると言われたが、問題は体じゃない。


心の病。


目を覚ました梓は胃の洗浄で体にだいぶ負担が掛かっていたのか、とても苦しそうで辛そうだった。


その症状が和らいだ今は、心がとても辛そうで誰一人安易に近づける状態ではなかった。



「笠原さん――」



梓の病室から出てきた笠原さんは力なく首を横に振った。



「やはり何も話してはもらえませんでした。それどころか野坂さんの名前を出すと怯えてしまって――」

「そう、ですか――」



最初は人が近付くだけで取り乱すほど、梓の心は傷ついていた。


今でも担当医の先生以外の男性が近付こうとすると怯え、暴れてしまう。







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