愛を餌に罪は育つ
私たちは一旦病院の食堂で一息つくことにした。


お互いコーヒーを口に運び、ほんの暫くの間俯き、他にも席は空いているのにまるで私たちは合い席しているかのようだった。



「梓の部屋から遺書が見付りました」

「え――?」

「もう生きている事が辛いから、妹の後を追います――そういう内容でした。書く手が震えていたのか、文字は歪んでいてその時の梓の心情が伝わってくるようでした」



遺書――。


やっぱり、梓は自殺をしようとしたんだ。


涙が流れそうになるのを、唇を噛み締めグッと堪えた。



「梓が飲んでいた睡眠薬ですが、昔よく不眠症の方などに病院で処方していたものだそうです。その薬は効果は強いんですが、服用する量を誤ってしまったら死に至る危険がある為、今はあまり処方されていないそうです」

「梓は酷い不眠症だったって事ですか?それを知ってて薬を飲んだんでしょうか――」

「調べたところ梓はどの病院にも通院していませんし、過去に通院していたであろう病院で、睡眠薬を処方された履歴はありませんでした」



病院じゃなくて個人的にどこかから手に入れたんだろうか。


本人の口から聞ければいいんだが、梓があんな状態では今は話を聞いても無駄だろう。






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