愛を餌に罪は育つ
お店を出て翔太君と肩を並べて歩き始めた。


私の肩よりも明らかに高い位置にある翔太君の肩。


記憶の中の人は私よりも少し高い位だった様な気がする。



『ちょっと暗くて細い道なんだけど、ここ通った方が大通りまで近いんだ』

「そうなんだ。この辺りに詳しいんだね」

『よくぶらついてるからね。女の子だけの時は危ないからここは通っちゃダメだよ』



翔太君の言葉に微笑み返した。


まともな外灯もなく薄暗くて少し不気味な細道。


どんなに急いでいても一人だったら絶対に通らない様な道。


翔太君は私が怖くない様にと明るいトーンでたくさん話をしてくれている。


その話に時折声を漏らしながら笑っていると、背後から足音が聞こえた気がして私は何気なく視線を後ろに向けた。



「――あさ、ひ?」



私の言葉を聞いた翔太君も慌てて後ろを振り向いた。


朝陽の顔はハッキリとは見えないけど、口元は笑っていた。


この場所のせいなのか、朝陽の妙に静かな雰囲気のせいなのかはわからないけど、逃げなければと思うのに足が地面にくっついているかの様に動かなかった。





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