牛乳と猫スーツ。
「あいつ、そんなあだ名があるんだ…。」
「誰にもデレない憧れの人が、いきなり現れた男にデレてるから妬まれてるんじゃね?」
腕組みしながら悠斗が話す。
「いや、デレてないよ…。殺されかけはしたけど。」
「…しかし、男の名前は姓名一緒に言う柊が、直樹だけ名前呼びだからね…。」
「それだよ!初めて聞いたときは驚いたぜ!どうなんだよ直樹?」
グイッと悠斗と拓也が顔を近づける。
「いや、その〜。あ、それより、今度ゲーム発売するよな!?」
「「……………………。」」
沈黙が続く。
「そういえばでるな、いつだっけ?」
「…今週の日曜日だ…。」
話をそらすことに成功した直樹。悠斗は単純、拓也はゲーム好きなので助かった。
正直なところ、直樹に好きな人はいない。魅力的な人は多いけど、好きという感情になっていないのだ。
「おい、直樹?聞いてるか?」
悠斗に肩を叩かれ、直樹は気が付く。
「ごめん、聞いてなかった…。何の話?」
「だからバイトしようって話だよ、日払いのさ。」
「…確か売店に無料の求人雑誌があったと思う…。」
「そんじゃ、俺取ってくるわ!」
悠斗が立ち上がって走って行った。