牛乳と猫スーツ。
29…風邪。
ピピッと体温計の鳴る音が静かな部屋に響く。
「39度か…。先生に言っとくから、今日は寝てなよ。」
悠斗から体温計を受け取り直樹が言った。
「腕は動くけど、体が動かねぇ…。」
「動かなくていい。今日からテスト期間だし、昼には戻ってくるよ。」
直樹がスポーツドリンクを悠斗の近くに置きながら言う。
「直樹……そこにあるダンベル取ってくれ…腕だけでも鍛えねぇと……。」
「寝てろ。」
ツッコミの代わりに冷えペタを悠斗の額に張る。
「それじゃあ、学校に行ってくるから。」
「うう…。生き地獄とはまさにこのことだ……。」
悠斗の言葉にクスッと笑いながら直樹が部屋を出て学校に行く。
【1年2組の教室】
直樹は悠斗のことをこーちゃん先生に伝え、朝のHRが終わる。
1限の授業の教科書を出していると、隣の席の拓也に話しかけられる。
「…悠斗が風邪って本当?」
「本当だよ、俺が一番信じられない。」
「…バカなのにな。おっと、先生来た。」
教師が来て、拓也が前を向く。