牛乳と猫スーツ。
「直樹君はこの県の名前を知っていますか?」
「え?無名でしょ?変わった名前ですよね。」
「そうですね、変わった名前です。」
笑顔のまま氷がコインを握った手を直樹に見せるように開く。
「もし、ここに住む100人に県の名前の由来を聞くと、変わった名前と言う人が50。別の意見を言う人が50。」
「は、はい?」
「意味がわかりませんよね…。あなたはコインの表にいるんです。だから裏は見えない…。」
「表?裏?」
直樹には氷の言葉の意味がまったくわからなかった。
「しかし、もうすぐ裏はなくなるでしょう。そうすれば表だけの世界になります。」
「意味わかんないですよ先生…。裏がなくなれば表もなくなるでしょ?」
「フフッ…。そうですね、なくなっちゃいますね。つまり、もうすぐいつもの日常に戻るということですよ。だから待ってあげてください。」
氷が立ち上がって言った。
「さあ、午後の授業が始まりますよ?私の授業ですから、集中しないとミンチにしますよ。」
「はい、わかりました。」
いつものと言うにはまだ暗いが、直樹の表情はいくらかマシになっていた。
そして2人は校舎に戻って行った。
【そしてまた一週間後】
日課になっているなと心の中で呟きつつも、直樹は学食で食べながらニュースを見ていた。