牛乳と猫スーツ。
「さて、警備を強化しとくか。しかし…少しキツく言い過ぎたかな?いや、まだ足りないかもな…どんなに強くても、自分の手で守れる物は少ないから。」
……………。
………。
…。
【廊下】
直樹は何度目かわからない溜め息を吐きながら歩いていた。
「一生共に……か。」
不意に拳を握る。誰かを守れるくらいに強くなったつもりだった。だが力だけでは、どうにもできないこともあると痛感した。
「見つけた〜!」
いきなり前から彩華が飛び出して、銃を撃つ。
「ん!?」
口に入り、ゴクッとチョコレートを飲み込む。
「ヨッシャ〜!渡せた〜!!」
飛び跳ねながら喜ぶ彩華。そんな彩華を見て、直樹は思わず笑ってしまう。
「彩華さんを見てると、明るい気持ちになるよ。」
「え?えへへ、そうかな〜。」
両手の人差し指をツンツンしながら照れる彩華。
「(今できることをしよう。きっとそれが近道なんだ。)」
力強く意志がこもった拳を握る。
「直樹くん、そろそろ5限始まるよ。」
「うん、戻ろうか。」
2人は教室に戻って行った。