牛乳と猫スーツ。
【放課後】
チャイムが鳴り、直樹はエリーゼの方へ歩いていった。
「ナオキ、どうしたデス?」
「ごめん、エリーゼ。会長から何も聞けなかったよ。」
「気にしなくていいネ。今が楽しいカラ、大丈夫なんデス。」
そう言って、エリーゼは教室から出て行った。
「阿部くん、悪いけど、この資料を図書室に返してきてくれないかしら。」
「はい、わかりました。」
氷に頼まれた資料を持って、直樹は図書室へ向かった。
【図書室】
「失礼しま〜す。」
図書室は静かで、窓から夕日のオレンジ色の光が差し込んでいた。
「誰もいないのか?」
中へ入り、周りを見渡す。
「ん?」
直樹はそこにいた、ただ1人を見つけた。
夕日の光で、白い髪がオレンジ色になり、直樹に気づかずに本に集中している遥がいた。
「あら?」
直樹に気づいた遥が目線を向ける。
「悪い、邪魔したかな?」
「いいわ、それより図書室に何か用?」
本にしおりを挟み、立ち上がる。
「この資料を返しに来たんだけど。」
「ああ、それなら私が片づけておくわよ。」
「すまないな。」
遥に資料を渡す。遥は図書室の一番奥の分厚い本が並ぶ所へ歩いていった。