牛乳と猫スーツ。
51…主役。
2月が過ぎ、3月になった。まだ風は冷たいが、日の光りは暖かい、そんな日の朝のグラウンドには恒例になった修行が行われていた。
ただ少し違うのは…。
「うおりゃぁぁ〜!!」
直樹の拳が蓮の腹に当たる。
「ッ…。よし、そこまで。」
蓮はネクタイを緩め、カチューシャを外す。2月の終わりくらいに、蓮は男の体になっていた。
「数ヶ月で当てられるようになるとは思わなかったぞ。」
蓮との修行を始めて数ヶ月、直樹は蓮に攻撃を当てれるくらい成長していた。
「いや…まだ体力が…もっと鍛えないと…。」
グラウンドに大の字に倒れながら言う。
「さてと、今日から卒業祭(そつぎょうさい)の準備があるから、修行は悠斗達としておいてくれ。」
〔*卒業祭とは、卒業を控えた3年生に最後に楽しんでもらうための文化祭に似た龍堂学園の恒例行事である。〕
「はい、わかりました。」
「直樹達のクラスは何をするんだ?」
「一応、劇にしようって決まったんですけど、まだ誰が何をするかは決めてないんですよ。」
「そっか。まあ頑張って練習しろよ。それじゃ、俺は仕事してくる。」
そう言って、蓮は生徒会室の方へ歩いていき、直樹も教室へ向かった。