牛乳と猫スーツ。
「まあ、これが終わっても、明日の卒業生への送る言葉を考えてもらうけどな。」
「なんでこんなに忙しいの〜!?兄貴はもっと遊んでたじゃん!」
「俺は必要な仕事はちゃんと片付けていたからな。これ、やり直しだ。」
数枚の書類を彩華に渡す。
「お母さぁ〜ん!!」
「母さん呼んでも同じ事だ。」
新聞紙を丸めて彩華の頭を叩く。こんな光景が1週間前から続いていた。
………………………。
……………。
……。
【中庭】
テラスで真由香が紅茶を飲んでいた。
「明日は卒業式か…。」
風が吹くと、制服の左袖がヒラヒラと揺れる。
「こんにちは、真由香先輩。」
「あら、直樹くん。どうかしたの?」
直樹が牛乳を持って立っていた。
「いえ、外の空気を吸いにきただけです。」
「そう、まあ立っていないで座ったら?」
真由香が隣の椅子を指差す。
「それじゃ、失礼します。」
椅子に座り、牛乳を飲む。
「好きな子できた?」
「ゴホッ!?」