牛乳と猫スーツ。
54…3つの戦い。
直樹は動揺していた。額の汗が流れ落ちる。目の前には、見たことない遥、そして眠らされ拘束された彩華。
「君が彩華さんを…さらっていたのか。」
「ええ、そうよ。」
「何のために…。彩華さんは関係ないだろ!?」
「関係あるわ。さっきも言ったでしょう?私かこの子か選んでって…。」
氷のように冷たい目で、彩華を見ながら言った。
「あなたは私と一緒になるべき人。無駄死にさせたくないの。」
「何の話をしているんだ…。」
「あなたの知らないこと。知らなければ平和に暮らせて、知れば争いに巻き込まれる。それが無名県の秘密。けれど、あなたはいずれ知るでしょう。そして終わらぬ戦いに身を投じる。」
「そんなこと、どうだっていい!早く彩華さんを返してくれ。」
遥は何も答えずに、懐から短剣を取り出す。
「ねぇ、どうして?私はこんなにあなたを愛しているのに…。」
「遥、だから俺は―――――」
「この女がいるからでしょう!!」
遥は振り返り、彩華を刺そうとする。
「ッ!?遥ぁぁぁぁ〜!!」
銃を取り出し、狙いを定める。発砲音と共に、短剣が空を舞う。