ヒーロー
高校生になったケントは、県内の柔道の強豪校へ進学していった。僕は地元の公立高校。



やっと追い付いたと思った柔道の実力も、あっという間に離されてしまった。



向こうはインターハイも狙える超強豪、こっちはただの公立高校だ。環境が違いすぎるといえばそれまでだけど。



それでも、試合で会うとケントはよく話しかけてくれた。



中学時代のスター選手ばかりが集まる強豪校でも、やはりケントは稽古が嫌いにならなかったようだっだ。



体は試合で会う度に大きくなって、高3には100キロに迫ろうかという巨体になっていた。



体重がないと試合で使ってもらえないから、と、げらげら笑っていたあの時のケントは、中1の頃と全く変わらない光を放っていた。



ケントに付いていくのに必死だった中学時代の3年間。それが幸いしてか、僕は高校の柔道部でキャプテンに選ばれ、後輩にも恵まれて、県大会も何度か勝ち抜けるチームになった。



でも、ケントもまたその強豪校でキャプテンに選ばれ、その年ケントの高校はインターハイへ出場した。



ただただ眩しかった。
すごいな、ケントは。
やっぱりケントには敵わない。
ケントみたいになりたいよ、僕も。



ケントは鈍行をどんどん追い抜いていく特急電車みたいに、とにかく先へ先へ真っ直ぐ進み続ける、眩しすぎる存在だった。
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