私の彼氏
三木真由美は、いつも前から二両目の車両に乗り通勤する。

そして、車両の中ほどに歩いていくと、いつも綺麗なOLらしき女が座っている。

その女が必ず次の駅で降りるということを知っていたので、真由美はいつも空いたその席にスッと座っていた。

その朝も無事に真由美の指定席に座ることができた。

まだ、あの綺麗な女の尻の温もりが椅子に残っている。その温もりを堪能した後、ポケットから携帯電話を取り出し、『私の彼氏』の続きを読み出した。

真由美はカワイサツキに親近感をもっていた。

それは小説を読むうちに、カワイサツキとの二つの共通点を発見したからである。

一つは、同い年ということ。どちらも三十三歳である。

そして、もう一つが勤め先がどちらもM市だったということである。

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