私の彼氏
秋山はメールを読み終えた。

ちょ、ちょ、何で追伸の部分だけ“送り仮名”ないの? そこだけが読めないのに!

オモロいけどやな…。

佐竹に田中の住所を教えてやろう。

それから、俺は先ほど“送り仮名”と“振り仮名”をわざと間違えたのさ。


秋山は佐竹に電話をかけた。

「もしもし」

『あっきー?』

「百日紅と蛞蝓の読み方、教えれ。読者さん(と言っても極少数である)も気になってるはずだぜ」

『田中が帰ってきたところを刺し殺すから、住所教えれ(TKSJ)』

「その前に、読み方教えろよ」

『ググれ、カス。そんなことより、早く住所きぼんぬ』

「かわいいやつ」

そう言うと、秋山は佐竹に住所を教えた。


その後、朝方に帰ってきた田中を佐竹が刺し殺したのである。

その時、もちろん田中は七百万を持っていない。佐竹は数千円が入った財布だけをゲトって逃げたのである。


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