私の彼氏
「あっ、先生、病室に携帯忘れてきちゃいました。取ってくるので、しばらく待っててけさい」

「しかたないわね。いってらっしゃい」


―――


「梅子さん、すいません。携帯、わすれちゃって」

「これかの?」

「はい。これです。それでは」

「待つのじゃ!」
梅子は山崎生徒を呼び止めた。

「おぬし…」

「その先は言わないでください。梅子さんに私がレズだとバレているのは分かっています」

「真由美のことが好きなのか?」

「…………」

「おぬしも辛いのう。おぬし、喫茶店『ユリア』を引き継いでくれぬか?」

「わたしが……ですか?」

「ふむ。おぬしになら、任せられそうじゃ。それにな、『ユリア』はレズの客が出会いを求めてやってくるのじゃよ。おぬしにも素敵なパートナーができるやもしれん」

「えっ!? あの喫茶店はそういう店だったんですか?」

「そうじゃよ。『ユリア』の『ユリ』は『百合』を表すのじゃ。無論、普通のお客もおるがの」

「無論、オムロン」

< 192 / 206 >

この作品をシェア

pagetop