私の彼氏
「真由美が来たのか?」

と電話をとる。

秋山が五月の顔をみる。

五月は頷く。

「で、どんな女だ?」

「何? 十九歳?」

と秋山に聞こえるように声にだしてやる。

「勤め先は…小さな会社の事務員……。わかった。ありがとう」

と言い、電話を切った。

「要らぬ心配だったようだな」

秋山は顔に笑みを浮かべて言った。

「あぁ、胃の痛みがとれたよ」

「胃の痛み? トゲ病じゃないのか?」

「なんだそれは?」

「いや、別に……。念のために、今日中に『私の彼氏』を削除させるんだな」


「わかった。俺は“まゆみん”に会いに行くが、お前も一緒に来いよ。祝い酒を飲ませてやるよ」

「その後、やるのか?」

「今日は、やりたい気分なんだ」


この日以後、五月と秋山は以前通り会うようになった。


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