私の彼氏
佐竹誠一

1

佐竹誠一は(ハード)ゲイである。

今年で四十五であるから、秋山と同い年になる。

三木健介や五月と違い、カモフラージュ嫁やカモフラージュ彼女はつくっていない。もちろん、周りの人間にはゲイであることは内緒にしているのだが。

佐竹は市役所に勤めている。仕事が終わると決まって、○△公園に行く。その夜の相手を探すのだ。

一年ほど前のことだ。彼は、公園で秋山に出会った。そして、一目惚れをした。

佐竹の方から秋山にアプローチをかけた。

こういった場所での、会話は少ない。「僕とどうですか?」に対して「はい」か「いいえ」と答える会話があるだけなのだ。

佐竹と秋山の場合もそうだった。秋山は「はい」と承諾をした。

ちなみに、行為の相手を探す時は、男役(タチ)は右手に手袋を、女役(ネコ)は左手に手袋をするというのが、この○△公園のルールである。これで見た目でわかる。なお、両手に手袋の人は、男役も女役もこなせるということになる。ただ、冬場は一般人でも手袋をしているので、ややこしいのであるが。


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