Loving Expression ~愛を詩にのせて送ろう~
自分のためにも美羽は埃をかぶった参考書の表紙を軽くはたいた。
複雑な図形が目に焼きつく。
はぁ、とやる気がなくなって参考書から逃げるように閉じる。
数学だけはどうしても苦手だ。
大量の法則、重なり合った円の体積などを見ていたら吐き気がする。
論にかなった合同問題など言語道断。
もともと発言することに意味を持たない美羽にとって、理由づけには頭を悩まされている。
頭痛がしてきたので、それそれの手首の下のほうあたりをつかみ、その上に倒れこんだ。
ちょっとだけ、ちょっとだけ―――――と決まり文句を呟きながら、美羽は目を閉じた。