青い向日葵
2
彼女は、沖田 春野(はるの)というそうだ。
あの川沿いに家があるそうだが、高校は少し離れたS高に通っているらしい。
もう一度春野に会いたくて、俺は無意味に川原を散歩することが増えた。
川原に座ってやる気なく石を放り投げる。
また一つ、石がちゃぽんと川に沈んだ。
「はぁ」
意味もなくため息が漏れる。
これはもう、癖みたいなものだった。
その時。
「大野くん」
と声をかけてきたのは、期待していた相手ではなく、授業を終えた杉本だった。